Episode 2
映画はもう作らないと決めたのに

Episode 2
映画はもう作らないと決めたのに

ファンファーレ・ジャパンは、2014年の設立以来、長編映画4本を含む7本の映画を制作してきました。映画制作を本業としない小さな制作会社としては異例の多作です。

私たちは、なぜ映画を作り続けるのか。このブログ3部作では、その映画事業をライフワークとする理由をお伝えします。

ファンファーレ・ジャパン代表
シマタケ

長編映画「ココロ、オドル」の制作発表会見

シゲさんの終わらない挑戦

映画制作は、多くの人にとって憧れの世界かもしれませんが、その現場は想像を超えるほど過酷です。

弊社で映画制作を担当するシゲさんも、制作期間中はほとんど眠れず、時には体調を崩すこともありました。

それでも映画を作り続けるのはなぜなのか。

今回は、映画制作に懸けるシゲさんの物語をお届けします。

2016年頃、シアタードーナツをきっかけにご縁が生まれ、岸本司監督から「一緒に映画を作りませんか」と声をかけていただきました。

こうして誕生したのが、長編映画『ココロ、オドル』です。

しかし、当時の私たちは映画制作の素人。

予算管理も、現場運営も分からず、周囲から厳しい目を向けられることもありました。

それでも座間味島での撮影を乗り越え、映画は完成。

さらにドイツ・ハンブルグ日本映画祭で最優秀賞を受賞する作品となりました。

けれど、その裏で会社の収支は実質赤字。

公開初日、満員のお客様を見ながら私は心の中でこう決めていました。

「もう二度と映画は作らない。」


シアド宮島真一さん(左)岸本監督(中)

悔しさが、プロデューサーを育てた。

ところが、「もう映画は作らない」と決めたはずなのに、シゲさんは映画づくりをやめませんでした。

実は『ココロ、オドル』の公開前には、すでに北中城村のPRドラマ制作が決まっていたのです。

そこでシゲさんは、もう一度岸本監督と映画づくりに挑みます。

その理由を聞くと、返ってきた言葉はとてもシンプルでした。

「一作目は何も分からず、たくさんの人に迷惑をかけた。だから、もう一度ちゃんとプロデューサーとして挑戦したかった。」

あの悔しさが、シゲさんを突き動かしていました。

『きたなかスケッチ』では、沖縄出身の世界的ダンサー・仲宗根莉乃さんを主演に迎え、北中城村の伝統文化を描いたヒューマンドラマを制作。

さらに、その後も岸本監督とともにEXILEのHIROさんプロデュースの短編映画や和楽器バンドのPV映画を次々と手掛けます。

一本一本経験を積むたびに、映画づくりの技術だけではなく、人との向き合い方、現場をまとめる力、プロデューサーとしての覚悟も身についていきました。

そして、その積み重ねの先に、沖縄全島エイサーまつりを題材にした長編映画『エイサーどんどん』が誕生します。

あの頃、右も左も分からなかった素人プロデューサーは、もうそこにはいませんでした。

長編映画「10ROOMS」より

シゲさんが得た財産

そして、その挑戦の先に生まれたのが、自主制作長編映画『10ROOMS』です。

今回は行政からの依頼でも、補助金事業でもありません。

自分たちの意思だけで、お金を集め、自分たちの責任で映画を作る。

ファンファーレ・ジャパンにとって、本当の意味での挑戦でした。

十分な予算があったわけではありません。

それでも、多くの沖縄の映画人が「シゲさんのためなら」と現場に集まり、一緒に作品を作ってくれました。

一作目では、素人だからと舐められ、悔しい思いもたくさんしました。

それでも、いつも笑顔で、人を大切にし、誰よりもひたむきに映画と向き合ってきたシゲさん。

その姿を見続けた仲間たちが、今度は力を貸してくれたのです。

映画を作り続けたことで得た一番大きな財産は、作品でも賞でもありません。

「この人と一緒に映画を作りたい。」

そう思ってくれる仲間との出会いでした。


2026年11月公開の長編映画「不死鳥の翼」

映画を作り続ける、本当の理由。

今回、このブログを書くにあたり、私はシゲさんに聞いてみました。

「なんで、そんなに大変なのに映画を作り続けるの?」

返ってきた答えは、とてもシゲさんらしいものでした。

「岸本監督に惚れているから。監督の頭の中にある世界を形にできるのが楽しい。そして、その作品をみんなに観てもらえるのが嬉しい。」

きっと、映画が好きだからだけではありません。

人が好きで、仲間が好きで、その先にある物語を届けたい。

だから、シゲさんは今日も映画を作り続けているのだと思います。

そんな、岸本監督とシゲさんもプロデュースで入った最新長編映画「不死鳥の翼」がこの秋に公開されます。

燃えた首里城を機に動き出した二つのヒューマンドラマです。

ぜひ、公開された際はご覧になってください。


(エピソード3に続く)
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